クリーニング店に負けないダウンジャケットの高級洗濯のコツ!
ダウン(羽毛)には、保温を高めるための油分が含まれているため、ドライクリーニングすると油分がなくなってしまうため、水洗いが大原則です。お湯に溶かした石鹸をダウンにかけて染み込ませます。
ダウンジャケットの表面の汚れは、ブラッシングしないと洗濯しただけでは取れないと思ってください。
45度くらいの熱めのお湯で洗うと汚れがよく取れます。油汚れは、脂質の融点(40度)以上の温度で洗わないと落ちにくいのですが、60度以上になると、色落ち、縮み、接着芯はがれなどが起こりやすくなるので、注意です。
ダウンの汚れは、特に襟元や袖裏、袖口に集中しているので、そこを重点的にブラッシング。
この洗剤は洗浄力のある100%天然石鹸ですが、家庭では油性の汚れもよく取れる食器洗い洗剤で大丈夫です。ダウンウエアの外側の汚れは、水性の汚れだけでなく、油性の皮脂汚れが多く、食器洗い洗剤がよく取れます。Yシャツの襟が黒くなってしまっている汚れも洗濯機に入れる前に食器洗い洗剤でブラッシングしておくと真っ白になります。これも裏技の一つ。覚えておいてください。
ドラム式洗濯機のある方は、いくつか汚れの箇所をブラッシングしたら、脱水しないでそのままドラム式洗濯機に入れてください。ダウン中に染み込んだ汗汚れを取るためです。洗剤がある程度染み込んでいるので、洗剤少々、洗う時間は約10分でOKです。
ドラム式洗濯機でない方は、ブラッシングが終わったら脱水機に入れます。脱水は長くても3分以内にしてください。脱水機は遠心力で衣類の水分を外に出す仕組みですが、回転速度が早いので、長く回していると衣類が傷みます。
ダウンウエアは水流式洗濯機ではダウンがぷかぷか浮いて洗えません。水流式洗濯機の場合は、ここで奥の手です。
ドラム式洗濯機でない方は、裏技!本洗いはコインランドリーで
コインランドリーには、ネットに入れて脱水して、少し乾燥させてから持ち込みましょう。
ダウンの洗い方は、手洗いしてから、コインランドリーのドラム式洗濯機を利用するとダウンの中まできれいになります。ダウンは汗汚れで縮まって絡んでいます。この汚れを取って上げることが、ふかふかのダウンになる決め手です。
洗う前には、金具や付属品は、プチプチを使って保護しておきましょう。
裏返しにするとより安全です。
コインランドリーの洗濯機の温度はお湯・ぬるま湯・水が選択できる機種にしてください。ぬるま湯か水を選択、この写真ではぬるま湯を選択しています。温度を選択できないものは高温になってしまいますので注意です。大きな洗濯機ならついでに他の衣類もネットに入れて洗ってしまいましょう。時間は10分足らずでOKです。こうするとダウン本体に染み込んだ汗汚れも取れてしまい、一般のクリーニング店以上の優れた仕上りになります。
家庭洗濯でダウンの中まできれいにする方法
ドラム式の洗濯機が自宅にない、コインランドリーに行くのも大変、という方には、ブラッシングして引き続き、ダウンの中までキレイにする方法をお伝えしましょう。
お風呂にお湯を少しだけ張り、洗剤をいれてじゃぶじゃぶ洗います。押し洗いです。
ここでは手で押し洗いをしていますが、浴槽の中なら足で踏みつけて洗うのも効果的です。水の中ですから水がクッションとなってダウンは痛みません。
手洗いの場合は、袖まで丁寧に押し洗いをいたしましょう。
これはダウンのトップブランド、モンクレールの洗濯方法のコミックで、ダウンの水洗いを推奨しています。水鳥はお風呂の中でジャブジャブと洗われ、シャワーを浴びています。それと同じような洗濯方法ですね。
ブラッシングと、押し洗いが終わったら、シャワーを十分にかけ、押し洗いを繰り返して、ダウンの中まで十分にゆすぎましょう。合成洗剤と比べて天然石鹸で洗うとゆすぎ性がとても良いです。
脱水は生地を傷めないためにも、3分以内に。洗濯機は、マニアルに切り替えられるものが良いです。
全自動洗濯機は洗い方の微妙な調整ができないので、プロは操作がとてもシンプルな2層式洗濯機を使います。
ダウンウエアの乾燥は必ず自然乾燥で!
このダウンウエア家庭洗濯でコインランドリーに行った方は、本洗いした後、そのままコインランドリーの乾燥機に入れてはいけません。また家庭のドラム式洗濯機で洗った方は、家庭の乾燥機に入れてはいけません。
洗って脱水したからといって、ダウウンにはたくさんの水分が入っていますから、大きな乾燥機でも、乾燥が終わるまで、1時間もかかってしまいます。乾燥機に入れる最大のデメリットは、ガラガラと熱い温度の乾燥機の中に長く入れてしまうことで、衣類が傷んでしまうことです。
自然乾燥って、なんでもないようですが、これが極上の乾燥法なのです。
ダウンクリーニングの匠はこのように自然乾燥しています。
少し手間はかかりますが、丸一日室内で乾かして、生乾きになればOKです。生乾き、半乾きが良いとされるのは、生乾きでタンブリングすると、少しの水分が蒸気となり表地のシワが伸ばしてくれるからで、中にはアイロン仕上げが要らなくなるという利点があります。次にタンブリングで、ダウンの縮み、もつれをほぐします。
もつれた、縮こまったダウンをほぐすタンブリング
生乾きになったら、(すっかり乾燥しても構いません)ドラム式の乾燥機をお持ちの方は、低温(40度まで)で、乾燥機に入れてください。これを乾燥ではなくタンブリングといいます。
ドラム式の乾燥機をお持ちでない方は、ここでもう一度コインランドリーの乾燥機を利用します。
タンブリング、意味は転回運動です。ドラムの中でダウンウエアが転回することで、絡まっていた中の羽毛(ダウン)がほぐれてきて、柔らかくなり、膨らんできます。家庭で手洗いした後、叩いたりしてほぐすという方がいますが、まったく効果がありません。このタンブリングに勝ち目はないのです。
ふっくらと膨らんだダウンジャケット
15分ほどタンブリングするとほらこの通り。長い着用でダウンに溜まった汗汚れが、ダウンを縮こまらせていました。その汗汚れを取ったあとだから、タンブリングするとこんなにふっくらとするのです。
ダウンウエアのアイロン仕上げ
ダウンウエアを自然乾燥、タンブリング後、アイロン仕上げとなります。
プロのアイロン仕上げ
アイロン仕上げで特に注意したいことは、アイロンを決して表地に直に当てないことです。
ダウンジャケットの表地は、ウール生地のものもありますが、ほとんどがポリエステル、ナイロンです。これらは熱に弱いので、アイロンを当てていると溶けてしまいます。
ポリエステル、ナイロンはしわになりにくい素材ですので、アイロンなしでも大丈夫なものが多いです。ちょっとしたシワも、半乾きでタンブリング乾燥をすると、シワが無くなってアイロンがいらなくなります。
プロは蒸気の力で仕上げする。このような方法で仕上げをやるのは家庭では無理ですね。ですから自然乾燥工程で半乾きの程度で、タンブリング乾燥することが大切で、できる限りアイロンをしなくてすむ方法は、自然乾燥で半乾きの状態でタンブリング乾燥することです。
写真のアイロンは業務用アイロンです。ボイラーから高い圧力の蒸気が入ってきて、蒸気の量をアイロンについているレバーで調節しながらアイロンを掛けていきます。少し浮かせてアイロンをしているでしょう。これがプロの技です。
- ビフォー
- アフター
細かいシワを伸ばすのは家庭アイロンでも可能です。シワのできるところは、コートであればお尻の部分です。アイロンを表地にできるだけ近づけて、少し当たる程度でも構いません。アイロンから蒸気を出しながら、とどまることなくゆっくりとアイロンを移動していく方法でシワは伸びます。
- ビフォー
- アフター
腕の曲げるところもしわができてしまいます。家庭用アイロンのコツは、レバーを回して温度を最大にすると蒸気の量も最大になります。アイロンを軽く当てても、止まらないで動かしていると大丈夫なので、ちょっとせわしくなりますが、この方法でアイロンをすれば、あなたもアイロン名人となります。
ダウンの家庭洗濯のすすめ
クリーニング店に負けないダウンジャケット洗濯の完成です。
ここでもう一度、「ダウンの家庭洗濯のすすめ」のおさらいです。一般のクリーニング店にダウンウエアを出すと、ほとんどが洗濯表示どおりにドライクリーニングしてしまいます。これでは表面の汚れ、ダウンの汗汚れが取れません。
また洗った後、自然乾燥もしないで、そのまま乾燥機へ入れて1時間以上も乾燥機を回し続けるのです。
これではダウンウエアが傷んでしまいます。一般のクリーニングは極上のダウンクリーニングとは決して言えないのです。表面の汚れをキレイにする手洗いブラッシングとドラム式洗濯機を利用する、自然乾燥とダウンをふっくらさせるタンブリングの組み合わせで、クリーニング店に負けないダウンジャケットの高級洗濯が可能です。ぜひトライしてみてください。
次にダウンジャケットのしみ抜き方法を紹介しましょう
何の染みなのかわからない!
ダウンの袖についた染みです。さっそくしみ抜き剤をつけました。
油性のものなら、にじんでくるはずです。
食べ物の染みなら乾くとちょっとごわしますが、そうでもないようです。
さてなんの染みでしょうか?
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次回は、「汚れのひどいダウンの洗い方」です。
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